最近は中国製の安いクランクも多く売られているので、クランクの改造・加工などが簡単に行えるよう、ペダル穴を垂直に立ててクランクをバイスにセットするジグを製作してみました。
クランクを改造してみよう
キッズバイクをいじるのが好きなんですが、よく問題になるのがクランク。短いサイズのクランクってなかなか売っていないんですよね。
唯一、東京サンエスさんが出しているLaCrankが細かくサイズ展開をしてくれていてとても助かるのですが、子供用には正直なかなか良い値段。用途や兄弟用に何台も作ったり、成長に合わせてちょくちょく変更するには若干厳しいものがあります。だけど、大人用のクランクを改造してキッズ用クランクを作ったりする時など、ベダルのネジ穴に平行にボール盤で穴あけをするのは実は至難の技。そこで、クランクの改造・加工などが簡単に行えるジグの製作を行いました。上のクランクはaliexpressで買ったんですけど、1本3000円を切っているんですよね。これなら失敗しても安心。なかなか面白いのです。
用意するもの
以下、ホームセンターで売られているようなボール盤、バイス、金ノコが既にあるものとして、お話を進めさせていただきます。
クランク固定ジグ
- ・9/16スタッド(RH,LH) Amazonにて販売中
- ・ベースバー Amazonにて販売中
- ・ポンチガイド 近日リリース予定
- ・サイドクランプ 近日リリース予定
刃物類など
- ・センターポンチ
- ・センタードリル
- ・下穴用ドリル 例:Φ5mm→8mm→10mm→Φ12.5mmドリル
- ・カウンタシンク Φ13mm以上
- ・沈めフライス ガイド部:Φ12.4mm / 刃径:Φ20mm 近日リリース予定
- ・Φ13mmドリル
- ・9/16タップ(RH)
- ・9/16タップ(LH)
作業例
1. スタッドの取付け
- 1-1. クランクに固定ジグのスタッドを取り付ける。
- 表面、裏面どちらから加工を始めても良いのですが作業例では比較的平らな裏面を加工面としています。
2. サイドクランプ組付け
- 2-1. ベースバーにサイドクランプを取り付ける。
3. サイドクランプ固定
- 3-1. ベースバーにスタッドを取り付けたクランクを軽く仮固定する。
- 3-2. クランクに当たるところまで、サイドクランプの高さ調整ネジを上昇させ、ゆるめ止めナットを下げて調整ネジを固定する。
- 3-3. クランクが回転しないようサイドクランプの側面固定ネジを締め、さらにゆるめ止めナットを使って固定する。
- 3-4. 3-1.にて仮固定したベースバーとスタッドを締結するためのボルトを増し締めし、しっかり固定する。
- 3-4のボルトの増し締めを忘れると、仕上がりの精度に大きく影響するので、要注意。
4. ポンチガイド取付け
- 4-1. ポンチガイドのペダル穴中心とクランク固定ジグのスタッドのセンターを合わせ、M6ボルトで固定する。
- 4-2. ポンチガイドのオフセット量設定部を測定しながら、新たに開けるペダル穴の中心を調整する。
- 4-3. 位置決め用ネジ(M6)を締め、ガイド部を固定する。
- ポンチガイドとクランクの両端の隙間を見ながら、ガイド部がクランクの中心になるようセットしてください。
5. センターポンチ
- 5-1. ポンチガイドに合わせてセンターポンチを打つ。
6. 沈めフライスガイド穴ドリル
- 6-1. 最初にポンチの打痕に合わせてセンタードリルで下穴をあける。
- 6-2. Φ12.5mmまで穴を広げる。
- 穴はいきなり大きく開けず、Φ5→Φ8→Φ10→Φ12.5みたいに少しずつ大きくしていった方が位置がずれたりせず良いです。
7. 沈めフライス座繰り
- 7-1. 沈めフライスを使い、ペダル軸とクランクが接する場所に座繰りをつける。
8. ペダル穴タップ
- 8-1. Φ13mmドリルで穴を拡張する。
- 8-2. カウンターシンクで面取りをする
- 8-3. ペダルタップ(BC9/16)にてタップ加工を行う。
- まっすぐにタップを入れるのは少し慣れが必要です。先に面取りをしっかりやると多少失敗しにくくなります。ちなみに私は写真のようにタップハンドルに水準器をつけたりしています。
9. 不要部カット
- 9-1. 金ノコで要らない部分を切り落としましょう。
- 多少、手荒く切っても後でシリコンカバーを被せてしまうので問題なし。
10. 端面処理
- 10-1. 鉄工ヤスリなどで角を落とす。
- こちらもどのみちシリコンカバーを被せてしまうので適当でOK。
11. シリコンカバー取付け
- 11-1. シリコンカバーを取り付けて完成!
- カーボンクランク用のプロテクターが数百円で売られているのでごまかすのに大変便利です。
いかがでしょう?かなりニッチなジグになりますが、用途にあわせて細かくクランク長さをそろえたり、様々な加工を行ったり、自転車いじりの幅はかなり広がるのではないだろうかと思います。私としては一般向けのゲレンデダウンヒルなどあまりこぐことを必要とされない用途において、一般的な170mmクランクは長すぎるのではないか等、色々調べてみたいことがあり、本ジグも活用していきたいなと思っています。