開発日誌

日々の開発、ものづくりについての話題や商品の説明を掲載していこうと思います。

カウルとランバーサポートの味見

 なんとか走れる状態になったので近所を走ってみました。

 春休みになり、自宅で仕事をしようにも子供に張り付かれてしまいなかなか思うようにいきません。子供の頃の記憶では春休みってすごく短い気がしていましたが、むしろ冬休みより長いんじゃないかと。親の都合で子供が一人で遊びに行けないような不便な田舎に引っ越してしまった手前、多少の相手はせねばと思うのですが2週、3週ともなるとなかなかものです。

 

そんなこんなで停滞していたのですが、隙を見てなんとかカウル&ランバーサポートのテストを始めました。以下、近所を20kmほど走ってみての感触です。

 

カウル(ウィンドシールド)について

大きさ的にはこれで十分ではないだろうか

 ネットを徘徊しているとモールトンにライダーの全身がすっぽり隠れるような巨大なウィンドシールドを取り付けているケースなどを見つけることができますが、そこまでやってしまうとかえって前投影面積が増えているのではないかという気がします。もちろんシミュレーションなどを駆使して最適形状を出す事ができればいいですが、それを本職にしているような人でないとあまりに大変です。その他、実際に制作することの大変さ、作った後の保管の大変さ等も考えると、あまりよくばらず一番の抵抗となるライダーの胴体部分に絞って考えた方が良いのではないかと思います。DHポジションをとることを前提にしているのもシールドを最小にしたいがためです。今回、DHポジションを取った状態でシールドの端が肩のラインに合うようセットしてみましたが、おおむね狙い通りでお腹の部分に風を感じることはほとんどありませんでした。身をかがめることで頭まで隠すこともできますが、風を感じたり、景色を楽しむ余裕もないサイクリングに意味があるのかという観点から、そこまでしなくてもいいのではないかという気もします。そういった意味ではもう少し小さくしても良いかもしれません。

 

体感できる効果

 下り坂での加速はものすごくスムーズで、斜度、取付ける自転車、ライダーの服装などにより多少変わるとは思いますが、50km/hぐらいまではするすると出てしまいます。もちろん、普通のロードレーサーでも出せるスピードではあるかと思いますが、余裕がだいぶ違います。重めのギアを踏めばおよそブログでは公開できない数字も出せそうでしたが、私はDHポジションでの下りに慣れていないので怖くて試せませんでした。でも、まぁ、良い子でなくともそんなことは止めた方が良いと思います。平地はどうかと言うと、実はうちの周りには平地がほとんどないためよくわかりませんでした。いずれバンクにでも持ち込んでデータを取ってみたいなと思います。ちなみに今回はスエット&チノパンと言うどうしようもない恰好で乗っていたので、サイクリングジャージを着るともう少し速度域が上がると思います。

 

その他、気になっている点

 DHポジションの出し方のコツをつかむまでしばらく悩みそうです。空力面はカウルで解決の方針なので、操作性とペダルの漕ぎやすさにフォーカスしたセッティングを探すことになるかと思います。あと、ウィンドシールドの下にも軽く吹込みを防ぐようなものを追加しようと思います。シールドのばたつき防止の観点からも何かあった方がよさそうです。ハンドル下の部分はデッドスペースなのでただ蓋をするだけでなく、賢い活用を考えても面白いかもしれません。

 

ランバーサポートについて

 上りではペダリングが安定し、効果がありそうな半面、明らかなデメリットも見えてきました。というか、UCI云々以前に、流行らなかったのも仕方ないかなという部分がちらほら。

 

とにかく窮屈

 今回DHポジションとセットで採用したのですが、これだと肘と腰が同時に固定されるためライダーの姿勢はがっちり固められてしまいます。これは想像以上に窮屈でした。例えば、舗装の継ぎ目などでバンプした時や、減速時の重心移動など、ちょっとした姿勢変更が難しいのです。下りでかっとべなかった一番の理由はここでした。身動きできない状態でスピードがどんどん上がるのはもはや恐怖でしかありません。

 

急ブレーキに対応できない

 2輪の乗り物で急ブレーキをかける際は腰をサドルから浮かせた状態で後方に引き、重心を後ろに持っていかないと前転してしまいます。しかし、ランバーサポートがあるとこれができないのです。速度の出ていない上り坂では良いとして、速度が乗ってくるとかなり危険です。完全固定式のランバーサポートがリカンベントをはじめとする重心が後ろにあるいわゆるクランクフォーワード的な自転車以外に採用されない理由は恐らくここです。当初、平地ぐらいは行けるかとも思っていましたが上記DHポジションとの相性もあいまって普通に減速するだけでも慎重にならざるを得ず、まったくもって恐ろしい乗り物を作ってしまったものだなと走りながら反省しました。アピュイドセルをヤフオクで落とすことがあっても、いきなり街中で乗るのは絶対に止めましょう。

 

ポジション出しが難しい

 腰の位置を決めるということは、体の自由度を失うということ。減った自由度の分、ポジション出しはシビアになります。というか、思った以上に腰はいろいろな仕事をしているようです。

 

じゃぁ、ランバーサポートは無用の長物なのか

 雰囲気的には自動車のクルーズコントロールに近い物を感じています。日本国内を移動する分にはクルーズコントロールは不要。そう、大陸仕様の装備なんだと思います。現状、唯一思いつく場としては長距離の上りですが、無理やり効果を証明するために乗鞍に出るとか私は絶対に嫌ですし、むしろ、それぐらいならモーターの実験したい。そう言って終わりにするのもありかも知れないかもしれないが、作りたい(笑)。だって、フロントカウルがあってリアに何もないなんてありえないじゃないですか。まぁ、開発理由は後でゆっくり考えましょう。

 

今後の進め方

 DHポジションとランバーサポート(サドルセッティング)を同時に進めるとポジション出しだけでカオスになりそうなので、一旦、DHポジションを先に決め、ランバーサポートは一度取り外し、機構を含め別途考えようと思います。ランバーサポートありきでやるとクランクフォーワードとか丸々自転車一台設計することになりそうなので、その方向は避けたい。先ずはカウルありきということで。

2017/04/01   Go
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